2020年1月24日金曜日

炭素鋼と合金鋼の違い

以前書いた過熱焼入れの炭素鋼の組織
概ね旧オーステナイト結晶粒は赤線で示した感じになってると思われる。

こっちはやはり以前書いたD2の過熱焼入れの組織
これの場合は旧オーステナイト結晶粒はこんな感じと思われる。






条件の違いもあるが同じ過熱焼入れ組織でも随分様子が違う。
炭素鋼が過熱しすぎと言う事もあるのかもしれないが、旧オーステナイト結晶粒がD2の場合はそれ程極端に大きくなっていない。
おそらくD2の方は基地に溶け込まない一次(共晶)炭化物があって、基地のオーステナイト結晶粒が成長しにくいのではないだろうか。(余談になるが粉末鋼はこの性質を利用している。一次炭化物に相当する成分を粒状を細かく均一に分布させる事により、基地の結晶粒が粗大化しにくくなっている。)

それとマルテンサイト自体の様子も大分違う。
炭素鋼は笹の葉状にバサバサした組織だ。
マルテンサイト変態はオーステナイト結晶の粒界から始まり、内部に向かって進むそうだ。溶け込んだ炭素量が多いほどバサバサした状態になるらしい。
D2の様な合金鋼の場合は結晶粒が小さい事もあるが、そもそもオーステナイトに溶け込める炭素量がすくないので、結晶内は炭素鋼の様にバサバサした状態にはならないのかもしれない。

炭素鋼も合金鋼も焼入れ温度過熱では、刃先は脆くポロポロ欠けやすい物になってしまう。
過熱焼入れはその後の処理ではどうにもならない・・・


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