2018年11月30日金曜日

ちっと早いが来年の目標

 毎年何かしらの目標を持ってナイフ作りをしているのだが、来年はフォールディングナイフをやってみようと思った。
まあそんな簡単には作れないだろうから、とりあえず一本やってみればいい。どうせ一年じゃできないだろうけどw
とりあえず鋼材を入手した。
フォルダーだと厚くても2.5㎜がいいところだと思う。
しかし2.5㎜厚のATS34って何処もなくなっちゃってるんだな・・・
関の刃物まつり行った時に、SETOカトラリーの倉庫にあったの思い出して注文した。
昨日注文したらもう着いた。長期在庫だったのか所々錆びてて今一だがまあいいかw
クロスロールの所謂kタイプってのと同じみたいだ。
こんなに要らないのだが、あれば何かしら使えるだろう。クロスロールでも長手の圧延方向に微妙にメタルフローがあるので、バネに使うなら都合がよさそうだ。

 最近はライナーロックが流行りみたいだが、どうせならトラディショナルなスリップジョイントかロックバックを作ってみたい。
この本読みながらやれば作れるんだろか?
とりあえずやってみよう・・・


しかしえらい宿題貰っただな・・・

2018年11月29日木曜日

東京刃物off会


23日に東京刃物off会に行ってきた。
今回で10回目になる。
主催の片山さん、毎回お疲れ様です。




まあ説明は面倒なので、撮った写真を貼っておく。
会場の雰囲気はなんとなく分かるでしょうw





























昨今の刀剣ブームがあってか、今回は70名ほどの参加者が集まった。その半数近くは女性だった感じがする。
ナイフ業界からすると羨ましい限りかw
今回ナイフ関連がちょっと少なかったのは残念だったが、刀剣を取っ掛かりにナイフにも興味を持ってもらえる可能性もあるので、次回はナイフ関係の参加者が増える事を期待したい。


2018年11月26日月曜日

獲れてよかった

昨日の猟は珍しく一番高い猟場でやった。
猟場の周囲は年がら年中駆除をやったために、ここ数年で獲物の数が少なくなった。
今の時期はまだ山の上から獲物が下りて来ない。上の方を掻き回してみようとなった。
今回もタツマをやった。
笹が生い茂る場所で、普段と違って今一獲物が何処から来るか分からない。
勢子が近づいてきたら、ワンコが正面の方で盛んに吠えてきた。
来るか?と身構えていたが、何も来る気配がない。
そのうち勢子が回り込んで、自分のタツマから逆方向に押して行った。暫くしたら「そっちに行ったぞ!」と無線が入った。
身構えてると、隣のタツマで銃声が二発聞こえた。
獲れたのは雌の鹿だった。
引いて回収するのは難しい場所なので、現場で解体して持ち帰った。今の時期は脂がよく乗って美味そうだ。
ボウズで終わるのかと思ったが、一頭獲れてよかった。
しかし一頃より獲れなくなったな・・・

2018年11月21日水曜日

日光浴?

 このブログのナイフネタの中では、何故かタレが一番人気だ。
いまだにタレについてよく聞かれる。
保革に必要な油脂を効率よく浸み込ますってのがタレの基本なんだけどね。


 いい天気だったので天日に干した。
ラノリンの作用があるらしく、日に当てるといい色に焼けてくる。
微量に入れてる松脂なのか蜜蝋の抗菌作用なのか分からないが、血みどろのナイフを差す様な使い方をしてもカビが生えた事はない。
原材料も天然素材で毒性がないのもいいんだなw

2018年11月19日月曜日

東京刃物off会

そういやすっかり忘れてた・・・
今度の23日に恒例の刃物off会あります。
http://shigetsune.blog.fc2.com/blog-entry-2258.html
今年は宴会は無しで、二次会で別にやるそうだ。
まだ募集は間に合う?
TwitterやFBで募集しているらしいけど、うちの方にメールくれたら取り次ぎます。
宜しくです~
monozuki_nahito@yahoo.co.jp



十分?

昨日の猟は解禁日にやった場所だった。地元に人達は解禁日から連ちゃんで周辺をやってたそうだ。
今回もタツマだったが、猟場の上の方から入る組だった。(前回は下から入る組だった)
自分のタツマは位置としたら一番高い所だった。だからタツマに着くのは楽だった。
タツマに行く途中でカモシカを見た。10mちょっとの距離でこちらをじっと見ていた。石を投げたら逃げてった・・・撃たれないから警戒心があまりないんだなw

この日は獲物の気配が薄かった。勢子が五六頭の群を見たそうだが、タツマには掛からなかった。
辛うじて自分の隣のタツマに雌鹿が一頭掛かって獲る事が出来た。

結局この日見たのはカモシカとタツマの周りをうろちょろしてたリスだけだった・・・


皆のナイフを研いだ。
色々なナイフを見れて面白い。

猟仲間が使ってくれてる昔作ったドロップ。
過酷な使い方をされているが、まだシースもしっかりしている。
山中で解体していると、ろくにブレードを拭う事も出来ず、血みどろのままシースに突っ込んで帰ってくる事もある。猟の実際なんてそんなもんだ。
それでも革シースでも十分いける。
そのぐらいの作りでないといけないと思っている。

2018年11月16日金曜日

はじまった

昨日は猟の解禁日だった。
先週にぎっくり腰をやってしまい、腰の調子が悪いのでタツマをやらしてもらう事になった。
まだ寒さも本格的ではないだろうと、あまり厚着してなかった。しかし日が当たらないタツマは待っているとえらく寒くなってくる。

ひたすら待っていると、上の方のタツマで盛大に銃声が聞こえてくる。無線で猪獲ったと聞こえてくる。
なかなか来ないなと思っていると、正こうの斜面の上の方にちらちら動くのが見える。
鹿が警戒しながらゆっくり歩いてる。しかし距離が150mちょっとありそうだ。
スライド送って薬室に弾を込めたら、音が聞こえた様で鹿が一瞬こちらを向いた。
撃とうかと思ったが、中りそうにないので、上のタツマに任せようと鹿が行く事を無線で伝えた。
しかし上のタツマには掛からなかったみたいだ・・・
また暫く待つと、上の方のタツマで銃声が聞こえた。
そのうちまた斜面の上の方を鹿が走ってきた。
狙いを付けるがやっぱり遠い・・・150mぐらい?
このまま行くと下のタツマの方に行くが、自分のタツマとはちょっと距離が離れてる。
やるだけやってみようと撃ってみた。反動で目線がそれた瞬間に鹿は見えなくなった・・・やっぱり中らんかw
また暫くすると同じ様にまた鹿が来たが、やっぱり遠くて撃てない・・・
ライフルだったらいいのにな・・・とつくづく思うw
この日は猪1頭に鹿7頭獲れた。
まあ幸先いい始まりだ。今期も事故無くいい猟期になる事を期待したい。

2018年11月13日火曜日

はじまる

猟期がそろそろ始まる。
今期はこのドロップを使ってみるつもり。これは自分用にSPGⅡで作った。
これとほぼ同じ仕様で作ったドロップをマトリックスアイダで売ってもらったら、さっそく売れてしまったらしい。有難い事だ・・・(お買い上げくださった方には感謝です)
しかしこのドロップより姿がよかったので、なんか惜しい気がする。(ハンドルの削りがちょっと違っていた)
手から離れるのが惜しく思う様では、ナイフメーカーにはまだなれないのかもしれない・・・まだ修業がたりないなw


2018年11月11日日曜日

3.5incセミスキナー

 久しぶりに一本完成。
刃付けすれば出来上がりだったのだが、暫く放置プレイになっていた。
3.5incのセミスキナー、ハンドルはタンリネンマイカルタ。
仕様はこの前のグリーンキャンバスマイカルタのとほぼ同じ。
 こちらの方が製作開始が早かったのだが、途中で追い越されてしまった。

 実はちょっと問題があった。
タングのテーパーの面をベルトで削りっぱなしでやってみたのだが、自分が思う平面精度が出ていなかった。
肉眼では全く分からないのだが、ルーペで拡大してよく見ると、ハンドルとの接着層が所々目立って見えてしまう・・・
もう一つはヒルトの上側に僅かにヒビが出た。これは快削材でないニッケルシルバーを使ったのだが、快削材でない場合は圧延した板材になっている。その端に近い部分から板取したため、圧延によるヒビ割れが出てしまった。これもルーペで拡大してよく見ないと見えないのだが、これでは売り物にはならないな・・・

セミスキナーはドロップみたいに癖がないから、研ぎやすくていい。
四つ足の狩猟をこれからやるって人にはお勧めだ。

これはお世話になってる初孫生まれた猟仲間に記念にあげるか。
じいちゃんはいいナイフ沢山持ってるから、婿殿に使ってもらおうw

シース作りかけが4本に、刃付け前のが1本ある。
頑張れば年10本ぐらいは作れるかもしれない。
もうちょっと作り込まないといけないな・・・

2018年11月8日木曜日

銀紙の組織

 銀紙1号と銀紙3号の組織を観察してみた。
先ずは銀紙1号の600倍。横の画角がちょうど100μm。
銀紙1号は系統としては440Cに近い。組織も似ていて共晶炭化物が多い。
10μm前後の共晶炭化物がジャリジャリ入っているが、これらはCrによる炭化物が主体なので、必要以上に耐摩耗性がいい訳ではなさそうだ。

銀紙1号の75倍。
クロスロール圧延で鋼材の長手方向は横方向だが、定尺では縦方向の方が長くなる。
クロスロールとはいえメタルフローはあるはずだが、銀紙1号の場合はほとんど判別がつかない。
銀紙3号の600倍。
銀紙1号よりは共晶炭化物は少ない。ATS34に似ている。
銀紙3号は14%Cr,1%Cで、系統としてはATS34に近い。Moが添加されてないだけともいえるかもしれない。

銀紙3号の75倍。
縦方向にメタルフローが見られる。クロスロールでも真四角に圧延している訳でないので、微妙に長手方向に鍛流線が出来る。
問題は鋼材の長手の直角方向に出来る事だ。
フラットバーの場合は長手方向に鍛流線が出来るが、クロスロールの場合それとは90度違くなる。
ブレードの強度としては長手方向の方がいいのかもしれないが、エッジが物を切る時を考えると90度の方向に鍛流線があった方がよさそうだ。
銀紙3号も炭化物の主体はCrによるものだ。ATS34の様にMoがないので耐摩耗性はそれほどでもなさそうだ。おそらくATS34の様に磨いてムラが出る事も少ないと思われる。


2018年11月1日木曜日

鍛造教室で思う事

この夏の鍛造教室以来、色々考えていた事をまとめてみる。

焼入れって基地の鉄がΓ相になる温度まで加熱して、炭化物を分解させ炭素を基地に固溶させなければいけない。
ステンレス鋼などは1030~1080℃といった温度まで加熱して、保持時間は10~20分という時間が必要だ。これはCrなどの合金元素が、炭化物の分解と基地への炭素の固溶拡散をしにくくしているからだ。

炭素鋼の場合は合金元素はないので、保持時間はごく短いものだと思っていた。
しかし実際は保持時間はある程度必要らしい。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sfj1970/20/8/20_8_384/_pdf/-char/ja
この資料の図1にある様に、加熱温度が一定になる電気炉等でやる場合は3~5分程度は保持時間が必要の様だ。

他にも資料を調べると炭素鋼であっても、確かに相変態と炭化物の固溶には時間が掛かる様だ。
共析鋼(0.8%C程度の炭素鋼)の場合、800℃付近の温度では数秒で一応Γ相になるが、C濃度は不均一で、均一なΓにするには20分もかかるそうだ。








ある温度で固溶できる炭素量は決まってくる。規定量に炭素を固溶するには炭素鋼であっても、ある程度の保持時間が必要なんだな・・・

ここ何年かJKGの野外例会に通って鍛造教室を受けているが、焼入れの際はそんなに保持時間は取っていない様に見えた。
そもそもコークスや炭を使った火床では、温度を一定に数分間保つ事が非常に難しい。
色々考えてみたら、どうやら温度を高目にして保持時間を短くしているという事が分かった。
実際今年の鍛造教室で温度計を使って焼入れ時の火色の温度を測ってみた。思った以上に温度が高かった・・・
理論と実際にはズレがあるもんだが、炉の特性も考慮しないといけないんだな。

焼入れを容易にするためには、炭化物の均質分布とその球状化が重要になる。
焼入れで加熱しても、溶け残った炭化物が基地の結晶粒成長を妨げる。ピン止め効果というそうだ。
炭素量が増えると鍛造はしにくくなるが、焼入れは容易になる。状態図を見れば明らかだが、Acm線とA1線の間が広くなるから温度範囲が広がるからだ。

鍛造教室の時、焼入れ作業を見ているとベテラン達は、焼入れ温度まで加熱したブレードを炉から引き揚げてすぐに冷却液に漬けるのではなく、色味を見て少し間をおいてから冷却していた。
理由を聞くと、すぐに冷却すると硬さが十分でないからだとの事だった。
おそらくすぐに冷却すると炭素の固溶量が多すぎるために、残留オーステナイトが増えるからなのだろう。
間をおいて僅かに冷却して炭素を吐き出させているんだと思う。大物のブレードの場合は、全体の温度を均一化する意味もあるのかもしれない。

吐き出された炭素が基地の結晶粒界に析出しないのか?と思われるかもしれないが、実際には溶け残った炭化物を核に成長するので元の球状炭化物に戻る。そのためにもAcm線を越えて全て炭化物を固溶させてはいけない。核が無くなれば結晶粒界に析出してしまう。
冷却はもちろんA1線より上の温度までとしないといけない。それを下回ると基地にフェライトが出るので硬さが十分でなくなる。

では焼入れの温度って何度でやるのが適正なんだろうか?
結局のところ炉の特性や使う鋼材によって変わってくるものなんだと思う。
炉の特性の違いは結構大きいのかもしれない。加治屋さんごとに違いがあると思う。
鍛冶屋さんは色で温度を判断する訳だが、これも作業場の明るさで見え方は変わってくる。
温度は定量的に測れないものなのかと考えたが、一定温度に保てる炉ではないので炉内の温度を熱電対で測っても意味はない.
加熱したブレードを放射温度計で測っても表面温度でしかないし、そもそも放射温度計では精度よく短時間で計測する事は無理だろう。
色で温度を見るってのも案外合理的なんだと思う。

焼入れ温度を職人気質のベテランに聞くと「温度は測った事がないのでわからない」と言う。
成功する色を覚えていて、その色でやれば間違いないってのがあるんだと思う。
そういった人は鋼材も一種類しか使っていない。焼入れの際は暗幕で外光を遮り、一定の暗さにしていた。

職人は経験によって作業方法を習得している訳だが、その作業は理論に照らし合わせると、非常に理に適ったものなんだ。

鍛造教室は今まで7回ほど受けているが、まともに刃が付くものが出来たのは2本しかない・・・
結構研いでみると刃先がポロポロ欠けてしまう物が多く、組織に問題がある様だ。鍛造や焼入れ温度に問題があったのだと思う。
そもそも野外の特設鍛冶場でやる事だから、ある程度仕方がないのかもしれない。ベテラン達も火色を見るのには苦労していた・・・
まあ失敗したからこそ分かった事が多かったんだなw