2019年10月15日火曜日

今年のたたら

三日連休 は岡山の長船にたたらを見に行ってきた。
土曜日は台風が上陸しつつあったが、台風の暴風圏の端っこをかすめる様に西に進んだ。
途中の雨は半端なかった・・・

兵庫と岡山の県境まできたら、西の方が晴れてきた。
どうやら台風の外側らしい。でっかい台風だったな・・・

 午前2時頃に家をでたが、長船着いたのは午後の2時過ぎだった・・・
とりあえず刀剣の里に行ってみた。
えらい人出で中庭まで駐車場になっていた。
国宝の山長毛を展示してるからか?

片山さんの作業場行ってみた。刀に彫刻中だった。
現場では炉を構築中との事で、挨拶そこそこに現場に向かう。
たたらを行う満足刀匠の鍛刀場に到着。
みんな集まって炉を作っていた。


 炉壁用の粘土をこねる。
炉壁は操業中に融けてノロ(スラグ)になる。そのために必要な成分が含有した土を何種類か配合してあるらしい。











耐火煉瓦を積んだ中に粘土を貼り付けて炉壁を構築する。
粘土玉にするのは、中に空気が入らない様にするためなのかもしれない。味噌作りの時も同じ様にやるものなw

炉の上部は土管を載せる。
単なる土管ではなく、耐火セメントで作った特別製らしい。
昨年は半切りのドラム缶を埋めて炭をつめて作ったカーボンベットを炉底としたが、今回はレンガを敷き詰めてカーボンベットを作ったらしい。
 中はこんな感じ。
土管の内径は300㎜程度で耐火煉瓦部から粘土が貼られて、炉床に向かってすぼむ様になっている。
炉床は長方形で両方の短辺側にノロ出し口があり、長辺側に二本づつ送風のための羽口が付いている。
羽口は炉底に向かっていて、円錐形状に絞ってあり、炉内側の穴径は30㎜程度になっていた。
 炉が完成した。
初日の作業はここまで・・・

 刀剣の里に行って三長毛を見てきた。
刃紋がえらく派手というか、妙に立体的に見えて不思議な感じがした。沢山の刀剣が展示されてる中で妙に浮いた感じ・・・
刀剣の事はよく分からんだなw










次の日は朝からえらく晴れていた。
時折強い風が吹いて心配だったが時期に収まった。


 薪をくべて内部を乾燥させる。
 送風機と鞴を設置して、薪をガンガン燃やしていく。
温度計で炉底の温度を測ったら1000℃程度まで上がっていた。
使用温度範囲が1200℃までなので、本番の操業中は使えない・・・
炭が詰まった操業中だと羽口周辺の温度は、おそらく1400℃程度は行っていたと思われる。
 芋焼いてくれたw

 たたらoff参加の若い刀匠がたたらの解説をしてくれた。
今回やるたたらはケラ押し。ケラとは半溶融状態の鋼で、ズクは熔けて固まった銑鉄の状態になる。
当然炭素量はケラの方が少なく、ズクの方が多い。
 炉を乾燥中に炭を切る。
八俵分切るのは、なかなかの重労働だ。
何より頭から足の先まで炭の粉で真っ黒だw
 切った炭を選別する。

 鮎を焼いてくれた。
美味かったw
鉄鉱石を砕く。
操業はじめに投入して種になるそうだ。
ノロの生成を促す作用もあるんじゃないかな。

 炭を投入開始。
すりきり一杯詰め込む。
昨年は結構ぎゅうぎゅう詰めにしていたが、今年はなるべく軽く詰めていった。

 炭が燃えだしたら最初は鉄鉱石を投入。

砂鉄は海岸で集めてきた真砂砂鉄だそうだ。
昨年までは磁石で選鉱していたそうだが、今年は金穴流しの要領で比重選鉱したらしい。
選鉱した砂鉄を洗濯糊で固めて板状にしてある。

いよいよ砂鉄の投入。
一回に1㎏づつ投入すして炭をすりきり一杯つぎ足す。
これを10分おきに繰り返す。
大体10分で100㎜程度沈降する感じだった。


 近くに落ちてた栗を拾って煮てくれた。
ほんのり甘くて美味しかったw

 日が暮れてきた。
今年は無理くり詰める様な事はしなかったので、通風がよかったみたいだ。
鞴の調子に合わせて炎が軽やかに揺らめいた。
 炉から噴き出した炎は、直後は還元炎だったものが外気と触れると酸化炎になる。
 ある程度のところでノロを出す。
昨年はノロがなかなか出なかったが、今年は勢いよく出てきた。
ノロは炉壁の粘土に含まれる珪酸塩などが還元された鉄に含まれる不純物と反応してできる。
ノロはアーク熔接で溶融地を覆うスラグと同じ役目をしている。
還元された鉄(ケラ)の上を覆って炉内雰囲気を遮断して、必要以上に吸炭をや酸化を防ぐ作用がある様だ。
砂鉄は炉の中層で還元され羽口付近で吸炭し、ノロに落ちて炉底にケラとして降り積もる。
ノロが溜まりすぎると支障があるので、定期的に排出する必要がある様だ。結構ノロに鉄が食われて歩留まりが悪くなるのかもしれない。


 終盤になってきた。
羽口には詰まり防止のためのメンテナンス用の覗き穴があるのだが、熔接用の遮光シートを使って覗くと炭が炉内に沈降してくるのが見えた。結構炉底部近くでも炭は形を保っている様だ。
 最後のノロ出し。
ノロは炉から出た途端は水の様だが、すぐに飴状になり時期に固まる。
流動状態になるには1000℃以上の温度が必要なんじゃないだろうか。
 ノロ出し口から内部を見てみる。
ケラはあるのか?
 いよいよ炉の解体を始める。
まだ残った炭が勢いよく燃えている。


 レンガを外していく。
位置によってはレンガが真っ赤に焼けていた。

 丸裸になって粘土の炉壁だけになってきた。



 粘土の炉壁を解体。
焼き固まって結構硬い。

 内部はもの凄い熱量だ。
熱線が刺さる様に熱く痛い。


 ケラを探す。
なかなか出てこない・・・

見つけた!
結構でっかいw

 金床に乗せて叩き割る。


 水を張った桶に投入。
水はあっという間にお湯になった。


 ケラの出てきた後をさらに浚ったら、まだ溶けて柔らかいズク(銑)が少量出てきた。


 ケラは9.3㎏だったそうだ。
なかなか見事な玉鋼が出来た。
 ズクは1.4㎏あったらしい。



 炉壁は羽口付近の浸食が激しい。厚さはぎりぎりだった。
当初砂鉄は30㎏の予定だったが、10㎏を追加していた。結構絶妙だったのかもしれない。
使った炭は8俵分で約102㎏だったそうだ。
40㎏の砂鉄から約10㎏の鉄が出来た。まあまあの歩留まりなんじゃなかろうか。
しかし炭の消費量が若干多い様にも思える。
砂鉄と炭の投入具合をもう少し工夫すると、炭の消費量を抑えられるのだろうか・・・


最終の三日目まではいられないので、ケラ出しを見届けたら帰ってきた。
片付けを手伝えなかったのが申し訳ない・・・
しかし興味深いものを見れた。
参加の皆さん、お疲れ様です。ありがとうございます~

2019年10月11日金曜日

インプルーヴドのドロップ

インプルーヴドハンドルのドロップ出来上がった。
全長206㎜、ブレード長91㎜。
4.2㎜厚のスーパーゴールドⅡで、削り抜いて実質2.9㎜厚になっている。

ハンドルはグリーンキャンバスマイカルタを使った。
このマイカルタは積層の縞模様がはっきり出なかったので整形に難儀した・・・しかし模様的には悪くないし、ハンドルの整形もよくできたと思う。


最近ハンドルのボリューム持たすのが自分の中での流行なので、ちょっと厚めに整形してみた。
インプル―ヴドハンドルは前端面は薄目にするが、中ほどはボリューム持たせてメリハリ出した方がいい様に思う。

シースも概ねよくできた。
インプル―ヴドハンドルの場合、シースはコンベンショナルなハンドルのモデルとちっと勝手が違うんだけど、慣れるとこっちの方が作りやすいかもしれない。

うまくできたらマトリックスさんとこで売ってもらうかと思っていたが、残念ながらブレードに何か所かピンホールが出ているのでやめた・・・夏の湿度の多い時期に磨いていたのが敗因だった・・・
来年も安来のショーに出る事があったら、アウトレットって事で特価で売るかw

2019年10月10日木曜日

球状化焼鈍しの重要性


 焼入れ時の炭化物のピン止め効果については以前何度か書いた。炭化物の球状化焼鈍しが重要なんだ。
焼入れは基地の鉄をオーステナイトに変態させ、炭化物を分解して基地に溶け込ます必要がある。
結晶粒界に炭化物が残ってると杭の様になって、隣同士の結晶粒が合体しにくくなる。

 焼入れ温度を上がるか保持時間を長くすると、炭化物は溶けてなくなっていく。
ピン止めの効果がなくなり、結晶粒が粗大化してくる。











炭化物が完全に溶けてしまうと、オーステナイトの結晶粒はとても大きなものになる。完全にオーバーヒートな状態だ。


前にも書いたが過共析鋼の場合、焼き入れはA1線とAcm線の間で行うべきだ。
Acm線を越えて炭化物を全て溶け込ませてしまうと3枚目の絵の様になる。
過共析鋼の場合、炭素量が多いほど焼入れ温度の幅が広がるので、焼き入れはしやすくなる。但し硬く伸びにくくなるので、鍛造はやりにくくなるが・・・

炭素はどのぐらい溶け込ませればいいのか?
この図はよく見られるものだが、これの横軸はマルテンサイトに固溶した炭素量を本来は示している。鋼の炭素量ではない。
マルテンサイトへの炭素の固溶量が多すぎると組織が脆くなる。せいぜい0.6~0.7%程度までにするべきだ。

基地のオーステナイトに溶け込ませる炭素量は温度によって決まってくるが、それにはある程度の時間が掛かる。炭素鋼でも保持時間は10分近く必要な場合もある様だ。
前に書いたがコークスや炭を使った火床の場合、加熱温度を高める事で保持時間を短縮しているのだと思う。さすがに火床で温度を一定に数十分保つのは難しいし、何より作業効率が悪くなる。

焼入れはおそらく高めに加熱して炭素量を必要十分に溶け込ませ、炉から取り出し色合いを見てタイミングを計って冷却に移るのだと思う。
ある程度炭化物が溶け残っている状態ならば、そこからA1線を下回らない(下回ると基地にフェライトが出てくる)範囲で徐冷すれば、吐き出された炭素は溶け残った炭化物を核に取り込まれて成長するので、元の球状炭化物に戻る。

ところが過熱しすぎて炭化物が残っていない状態だと、吐き出された炭素はオーステナイトの結晶粒界に沿って炭化物が成長する。いわゆる網状の初析炭化物だ。
硬い炭化物が結晶粒界に沿ってできるので、非常に脆い組織になる。

炭化物を球状化して大きさと分布状態を揃えるってのは重要な事なんだ。
大きさや分布が不揃いだと、部分的に炭素の固溶量に濃淡が生じて焼き割れの原因にもなると思われる。



2019年10月7日月曜日

来る?

例によって更新怠けているが、作業はしている。
インプル―ヴドハンドルのドロップのシースを作っていた。写真は撮り忘れてるので、作業は飛び飛びw

仮のウェットフォームの後に収まり具合の確認。
中子の形状と位置を決める。


 縫ってウェットフォームした。
 ウェットフォームは板やヘラ(しゃもじw)も使ってビッチリ整形する。
乾いてきたらコバを整形して磨く。

乾燥したらタレに漬ける。
再び乾燥を待つ。
台風近づいて天気悪くなりそうだな・・・
来るのか・・・?