ちっと気になる事があって、ベアリングの組織を観察してみた。
何のクルマのだったかは忘れたが、ハブベアリングのインナーレース。
多分SUJ2なんじゃなかろうか。
ちなみに硬さはHRcで約61あった。
先ずは600倍。横の画角が約100μm。
炭化物は大きくても1μm程度で、均一に分布している。
これは150倍。
研磨とエッチングの問題でやや分かりにくいが、組織は細かく緻密だ。
ベアリングは摩耗や疲労破壊などの条件が厳しい。用途的に全く違くはなるが、刃物も条件としてはベアリングに準ずるところがある。
理想的な刃物も本来この様な組織になるべきだ。
しかし意外と鍛冶屋さんの作った炭素鋼の刃物を見てみると、理想の状態からはかけ離れたものが多い。
多くが炭化物の球状化が不十分か、焼入れ温度過多のものが多い・・・
これは大分前に自分で焼鈍して板上にしたベアリングのアウターレース。
クラウンのリアハブに使ってたやつだったかな・・・
ちょん切って磨く。
エッチングして組織を観察してみる。
先ずは600倍。
やや炭化物同士のつながりが見られるが、概ね悪くはない状態の様だ。
これは150倍。
組織が粗くなってる事もなく、意外とよさそうだ。
大分前にやったからよく覚えてないが、確かガスバーナーで高温になりすぎない様に焙って、薪ストーブから集めた灰の中に入れて徐冷して焼き鈍した。
焼き鈍したあとは金鋸で切って、適当に温めながら叩いて開いた。
ベアリングはもともと組織が細かいので、鍛造する必要はなく、なるべく組織が痛まない様に加工すればいい様だ。
刃物の組織については尾上先生の「刃物のおはなし」や岩崎航介氏の「刃物の見方」に詳しく記されている。
理想の状態から外れていても案外使えるものだが、繊細な切れ味や刃持ちってのは組織がしっかりしていないといけない。
難しいもんだなぁ・・・
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